2006年7月の毒まつたけ


07/01()【漂流爆弾】
07/05(水)【蜂の巣にキス】
07/09()【パンダP】
07/11(火)【ツルハシとシャベル】
07/14(金)【ボーン・アイデンティティー】
07/18(火)【信長の野望DS】
07/21(金)【確率】
07/22()【リアリティー】
07/24(月)【SAPIO】
07/25(火)【ハウルの動く城】


2006年7月1日(土)
 今月は休みが8日間もあるよ。(≧∀≦)

 しごとの都合上、早起き体質になってしまったのでお休みの日なのに朝5時に目が覚める。そのまま朝っぱらからカレー作り。きょうもとてもうまくできた。いつものように5食に分けて保存。1食はそのまま食べておなかいっぱい。げふー。

 そして今日も録画映画を古いのんから淡々と消化してくよ。
 ジョン・フランケンハイマーの遺作(TV映画除く)『レインディア・ゲーム』。クルマ泥棒で5年間刑務所に入ってた主人公が出所したときに同房のダチを出来心で裏切ってしまった結果ひどい目にあう話。主人公、騙されっぱなし。トモダチを裏切るのはいかんよ、ってことかね。話が二転三転した後であきらかになる大元の計画自体がえらい遠回しすぎてムリムリ感あり。途中から早送り。評価65点ぐらい。
 次、『ピッチ・ブラック』。とある惑星に不時着した宇宙船の乗組員と客たちがスターシップトゥルーパーズに出てきたモンスターみたいなのんに襲われまくる話。モンスターホラーって、どっかわりと安全な場所に逃げ込んで状況がちょっと落ち着いたときにみんなで集まってさて次どうしよう、みたいに作戦をたてるシーンが必ずあるじゃないですか。んで脱出のために大バクチ打つの。俺そこらへんの流れがとてもスキ。
 この作品の続編がリディックだと途中で気づいた。リディックってのは超人じゃなくてフツーのタフガイなんだね。評価は70点ぐらい。

 また今日も2本観ただけで力尽きた。

 リーアム・キャラナン『漂流爆弾』(ハヤカワ文庫NV)読みおわたよ。
 第二次大戦末期にアラスカで日本軍の風船爆弾を調査することになった主人公(18歳)がえらい目にあう話。登場人物ほぼ全員きちがい。
 爆弾調査班は主人公とその上官の大尉のふたりだけ。この大尉が榎木津礼二郎をドス黒くした感じのエキセントリックなキャラクターで、完全にあたまおかしい。
 あと、若い女シャーマンとか出てくる。
 主人公はこのシャーマンをスキスキになるんだけどシャーマンは大尉とデキてる。この女性と親密になるときちがい大尉に殺されますよみたいな微妙な関係が物語のメインになってる。
 ぜんたいにマジックリアリズムっぽいところがえらい不思議感あり。エスキモーの精霊世界と風船爆弾。こんな変な組み合わせはちょっとないと思う。えらいおかしな空気の作品でおもしろかった。


投稿者:自殺君  投稿日:2006/06/29(木)12時15分53秒
貴殿等を三国一の無職と見込んでお願いがあるんだが
今日昼の三時頃に鶯谷で京浜東北にダイブする様をビデオにとりたいんだが
誰か回収してくれる住人はいるかね?

 上掲の文書はあやしいわーるどに掲載されたという自殺予告。その直後、件の駅でじっさいに人身事故が起きている。
 この書き込みの中の「貴殿等を三国一の無職と見込んでお願いがあるんだが」ってフレーズがとてもおもしろいと思った。今現在「三国一の無職」をgoogleで検索しても1件もヒットしない。つまりこのフレーズはコピペではなくこのひとのオリジナルだと思われる。そのことだけはたとえこんなwebの片隅であっても記述しておくべきだと判断したのでそうしておく。

【amazon購入本(2006年6月29日)】
 安田均『ゲームを斬る!』(新紀元社)
 加藤伸吉『乱漫』(講談社)←国民クイズで作画やってたひとのショートショート35連発。正直、期待してたほどのものでもなかった。


2006年7月5日(水)
 テポドンの話。
 燃料を注入した以上発射しなければならなくなってたわけで、他の5発(+夕方にもう1発)のミサイルと一緒にあのあたりに落下させたのはこの件についてはこれ以上押すつもりないですというメッセージに見える。ゴミは捨てないといかんけど本気と勘違いされると嫌だから他のと一緒に一緒の場所に撃ったんと違うの?
 んで当初の報道ではそういう見方をしてるひともいたんだけど夕方現在ではあそこに落ちたのは打ち上げ失敗のためという説一色になってる。
 ここらへんがとても怪しい。
 これが失敗だったとして、もし成功して方向的にあのまま飛んでたらその先はアラスカだよ? そんな、武力で確実に報復されるようなことするかね。
 降りたつもりなのに、ものすごい金額をベットしてオープンしたことにされそうになってる。
 燃料を注入した時点でゲーム的には勝負あったんだろな。

 ジョナサン・キャロル『蜂の巣にキス』(創元推理文庫)読みおわたよ。
 今回はダークファンタジーじゃなくてミステリだっつーからどんなもんかねと思ってたんだけど、じっさい読んでみると確かにこれ読んだ他の方々のご意見通りいつものキャロルとたいして変わらないもんでほっとした。キャロル健在なり。そしてミステリとしても一級品。考えてみれば、最後10ページぐらいでものすごい角度から全部ひっくり返すというこのひとのスタイルは元々ミステリ向けでもあるようにも思う。
 内容に触れるのはちょっとやめとこうと思う。
 イディオサヴァンのジョニーが廃墟で歌を唄っている場面が何故か印象に残ったということだけ書いとく。


2006年7月9日(日)
 ひとつ前の日付のテポドンの話はえらい間違ってるぽいんで恥ずかちー。(≧∀≦)キャー
 まず、地球の自転があるもんであのまま飛んだらアラスカじゃなくてハワイ沖だとか。北朝鮮はゲーム降りようとしたわけじゃないとか。どうも軍部がじぶんらの存在意義を自国民に対して示さないといかんのでわざと危機をつくりだしてるらしいとか。
 以上、今朝のTVからの情報ですた。説得力あった。

 自転車の虫ゴム前後とも交換した。年1回ぐらいで換えようと思ってるんでメモ。

 日記のネタのチョイスは現在ここ読んでくれてるっぽいひとらのこと考えてすることがあるけど、語り口はなるべく俺が(もしくは俺を)全然知らないひとを対象としたものにしてる。その知らないひとたちは地球の裏側に住んでるひとかもしれないし、昨日生まれて初めてネットに接続したおじいちゃんかもしれないし、まだ生まれていないひとかもしれない。
 そんなつもりでやってるのでクローズドなSNSにはあんまし興味持てないっす。

 安田均『ゲームを斬る!』読み読み中。いい本だこれは。
 ここ20年ぐらいアナログゲーム界からは離れてたもんでそこらへん界隈の動向がどんなんなっとるのかほとんど把握できてない。そんな俺にぴったしの本。
 ドイツゲームが流行ってるっていうのはボードゲーム界のごく一部での現象かと思ってたんだけど、だいぶ前からものすごいムーブメントになってるんだね。
 おもしろそうなゲームのカタログとしても読める本で、各作品、軽くルールを説明してくれてるのがとても良いです。

 ふと思い立ってYouTubeでパンダプロデューサーの動画をケンサクしてみたら1件だけ置いてあった。とりあえず貼っとくよ。もっとあると思ってただけにちょっとだけ残念ではある。
 俺、TVのコントはいろいろ観てきたわけだけどたぶんこのシリーズがいちばんスキ。基本的によゐこ濱口の「笑う男」同様の誘い笑いの一種。それが全部どうぶつネタ。どうぶつ最高。

リチャードホール パンダP 病院編

【amazon購入本(2006年7月8日)】
 チャールズ・ストロス『シンギュラリティ・スカイ』(ハヤカワ文庫SF)←評判いいので。
 鬼頭莫宏『ぼくらの』5巻(小学館)
 林田球『ドロヘドロ』8巻(小学館)←なんとなく買いのがしてたやつ。
 七月鏡一藤原芳秀『闇のイージス』24巻(小学館)


2006年7月11日(火)
 2年ぐらい積んであったワイオミングの惨劇読み読み中。

「そうとも。わたしは西部に来ようと決心し、ゴールドラッシュと銀鉱発見ブームのなかでひと財産を築いた。だが、べつに金を見つけたわけじゃない。あるとき例の年老いた行商人が話をしてくれた、金や銀の夢を頭に詰めこんだ男の大群が、つぎつぎにツルハシやシャベルを肩に担いで西部に向かってるとな。『西部へ行きな! あそこなら男が一旗あげられるぞ、坊や』じいさんはそう言った。『金を見つけるんですか?』わたしは訊いた。『とんでもない! ツルハシとシャベルを売るんだ!』老人はつづけて、金持ちになった探鉱者は十万人に一人しかいない、それ以外の連中は、手のまめと、凍傷と、孫たちをうんざりさせる体験談しか物にできない、と説いた。だが、連中はかならずツルハシと、シャベルと、ズボンに、豆に、タバコを使うに決まってる。


 ついこないだどっかで似たような話聞いたな。この本の原著が出版されたのは1998年なので念のため。

 休日なので今日も録画映画の消化をするよ。
 リーグオブレジェンド。19世紀末、アラン・クォーターメインを筆頭にジキル博士だとか透明人間だとかの超人が大集合して悪と闘う話。何故かトム・ソーヤーが超人のうちのひとりだったりする。どこがどう間違ってるのかも指摘できないぐらいおもんなくて早送り。所要時間30分ぐらい。
 次、順番でゆくと井筒和幸のゲロッパなんだけどなんとなくそんな気分でなかったもんでもののけ姫。10年近く前に劇場で観て以来。タタラ場に到着してからは意外に狭い空間でごちゃごちゃやってるだけ。こんなもんだったか。作画もなんかヘン。エボシ様のリアリストっぷりはおもしろかった。
 次、予告編を観てシュワのエンドオブデイズが前に観たことあるやつだと気づく。そのまま削除。


2006年7月14日(金)
 録画映画の消化があまりにもはかどらんもんで古いのから順にとりかかるとゆうのをやめてみた。観たいのんからどんどん観るよ。(`Д´)
 ボーンアイデンティティ観たよ。任務中に撃たれて記憶喪失になったCIA工作員のサバイバル話。こらおもろかった。主人公は何らかのメンタルなプログラミングにより高性能の殺人機械に仕上げられてる。そのたちふるまいがもっすごいかっちょいい。えらいひどい状況にはまっても即座に淡々と最善手を積み重ねてなんとかしてしまう。無駄なことしない。行動に迷いがない。無念無想にして自由自在。話自体はたいしたもんでもないのにこの主人公のアクションだけでおなかいっぱいになってしまった。続編のボーンスプレマシーも積極的に観たいとおもた。評価は80点ぐらい。
 次、リベリオン。ディストピアと反乱分子の話。ハンドガン二丁で大勢をなぎ倒すガン=カタという武術がみどころらしい。確かにそこらへんの殺陣はウソっぽくておもろかった。んでも他の部分があまりにもあんまりなのはいかがなものか。感情を持つことが禁止されてるディストピアにしてはみんなわりと感情丸出しのように見えるんだけど。あと、ちびわんこかわいすぎて反則。評価は65点ぐらい。

 さいきん気づいたそれはいかんだろ俺チェックリストふたつ。
・キングの呪われた町を読んでない。
・細田守作品を一本も観たことがない。
(;´Д`)ヤバス

 ほんの出来心で信長の野望DSを注文してしまいましたよ。


2006年7月18日(火)
 朝4時ぐらいに起きて3時間ぐらい信長の野望DS。これの元となってる烈風伝は昔おとうとくんに借りて少し遊んだことがある。そんときは伊達家で始めてそろそろ小田原城どうしようかみたいなあたりでめんどくさくなってやめたんだった。思い出した。攻城戦の仕組みがいろいろ納得ゆかんのがいかんね。合戦で部隊を選択するときも、もっすごい狭い範囲をピンポイントでタッチしないといかんから神経が疲れる。
 戦国武将がいっぱい出てくるシミュレーションって、今んとこコーエーのこのシリーズが独占してるよね。もすこしシンプルなやつをどこか出してくれんかね。武将が多いのはいいけど能力値の種類が多すぎて個性が把握できねす。

 そして今日は休日なのでいつものように録画映画を消化するよ。
 まず『ゲロッパ!』。刑務所に入ることになったヤクザの親分のためにジェームスブラウン(親分は彼の大ファン)を誘拐して連れてこようとした連中らがべつのえらいことに巻き込まれる話。親子の人情話とかもありのコメディ。大半早送り。西田敏行ファンならまあ楽しめるんじゃねの? 政府機関の描きかたがあまりにもひどいもんで失笑してしまった。それはともかく、常盤貴子、キレイだったなー。評価たぶん60点ぐらい。
 次『バッドボーイズ2バッド』。マイアミでアホアホポリスマンふたりが大暴走する話。マイアミバイスをもっとアホにした感じ。ユーモアの感覚がとても俺の好みにマッチしてたもんでけっこうおもろかった。最後、刑事モノというよりは戦争映画みたいな展開になったところに意表をつかれてプラス5点。評価75点ぐらい。
 次、ベルトルッチの『シャンドライの恋』。CinemaScapeで評価高かったもんで録っといた。何分か観てみたところ苦手な感じの映画だったので早送り。ラストエンペラーとリトルブッダはわりと好きなんだけどな。
 アフリカでオットのひとを軍に連行された若くて綺麗な黒人おねえさんがローマで住み込みメイドさんをしてるうちに雇い主の白人ピアニストのおにいやんととても微妙な関係になる話。おにいやんにスキってゆわれて、あたしをスキならオットのひとをなんとかして返してちょうだいみたいな感じになるあたりがどうもね。まあしかたないけど。俺このおねえさんけっこうひどい奴だと思うよ。評価はたぶん40点ぐらい。

 うっかりしてて深夜12時を少し過ぎてしまったけど日付はこのままで更新しまつ。


2006年7月21日(金)
 ここんとこどうもシミュレーション熱が出ておさまらづ、いろいろ物色してみた。そしたらアルファ・ケンタウリ完全版の廉価版が出てるのに気づいたもんで買ったよ。amazonで税込2079円。激安。判型が小さいとはいえ250ページ強もあるぶっとい説明書がついてる。そこらへんの同人誌ならこんだけで千円ぐらいすんじゃねえの?
 シヴィライゼーションシリーズのシド・マイヤーのデザインによる戦略ゲーム。ターン制なのでいわゆるリアルタイムストラテジー(RTS)が苦手なおっさんもあんしんして遊べる。
 ガチSF。
 少しでもSFが好きなひとでまだこれ持ってないかたはとりあえず買っといたほうがいいよ。今ちょっと時間がないのでくわしくは後日(たぶん)。
 なおPentium4以上のCPUを使ってるひとはそのままでは動作しないのでアルファ・ケンタウリ完全版・サポート情報を参照してください。

2006年7月24日追記:このゲームのデザイナーはシド・マイヤーではなくてブライアン・レイノルズというひとでした。さらに追記:Pentium4使用時の不具合はINIファイルをいじるよりパッチ1.01を当てたほうが早いす。その後、SidGame File Databaseというページに置いてある私家版パッチをふたつあてると良いようです。

 海外ボツ!NEWSの「2兆分の1の奇跡を起こした男」って記事に「専門家によれば、ホールインワンを決める確率は1万2500分の1、3回連続となると2兆分の1というとんでもない確率になる。」って書いてあるけどこれおかしくね? ゴルフをプレイし続けてるひとがあるとき3回連続でホールインワンを出す確率ってことだよね。それだと1万2500の3乗で計算するんじゃなくて2乗で計算するのが正しいんと違うけ? そうするとだいたい1億5千万分の1ぐらいになるよ。


2006年7月22日(土)
『サルタン防衛隊』が復刊されたと知って俺確かこれ持ってたよな捨ててないよな、と、ふだんはほとんど触ることのない保管場所の奥深くを漁ってたらいろんなもんが出てきた。
 幻の漫画家・網野成保『リアリティー』(1989年)。これはすごい。ホラー漫画短編集。ブクオフでこれみかけたかたはゼヒ。お薦め。
 そしてサルタン防衛隊も出てきたんだけど俺が買った時点(1985年)で既に第5刷だった。けっこう売れてたんじゃん。景山民夫が何かのメディアで〈めちゃめちゃおもしろい! できれば俺が映画化したい!〉みたいなことを当時ゆってたのを見て買ったのは憶えてる。俺、歳とったなあ、と思うのは、そのメディアがなんだったのかちっとも思い出せなくなってるってこと。くそっ。

 トレヴェニアン『ワイオミングの惨劇』(新潮文庫)読みおわたよ。1898年、銀鉱山への中腹にある人口15人のさびれた町に、刑務所を脱走した極悪人3人が乗り込んでくる話。超一流の創作技術。満腹。欠点無し。やっぱこのひとすごいわ。

 YouTubeでときめきトゥナイトのOPみつけた。わほーい。いいなあ、これ、懐古抜きにしても名曲だよ。


2006年7月24日(月)
 しごと先にたまたまSAPIOが置いてあった。暇な時間にちょっと読んでみた。この雑誌けっこうおもろいね。佐藤優(いわゆるラスプーチン佐藤。ムネオと一緒にコケたひと)の「北朝鮮は『求愛を恫喝で表現する』という独自の外交文化をもった国だ」って言葉がとてもシンプルでおもしろいとおもたのでメモ。

 こないだ買ったアルファケンタウリの説明書だいたい読んだ。デザイナーはシド・マイヤーじゃなくてブライアン・レイノルズというひとでした。「シド・マイヤーズ」っていうのはどうもブランドの名っぽいものらしい。

 画像は先日サルタン防衛隊を探してたときに出てきた古いゲーム。けっこうなおねだんで落札されてる形跡があってびくーりだ。

 明日は録っといたハウルの動く城を観るよ。

 アルファケンタウリのパッチについて追記しましたので必要なかたは先日の日付を参照してやってください。

【amazon購入本(2006年7月23日)】
 あさりよしとお『るくるく』6巻(講談社)
 夢枕獏板垣恵介『餓狼伝』18巻(講談社)
【amazon購入本(2006年7月24日)】
 山下和美『不思議な少年』5巻(講談社)


2006年7月25日(火)
 録っといた『ハウルの動く城』観たよ。呪いでおばあちゃんになってしまった少女の冒険話。
 こらおもろいわ。
 主人公のソフィーはおばあちゃんにされてしまってからのほうがずっと生き生きしてる。そこがとてもおっかしくてガッチリつかまれてしまった。ほとんどみんなが帽子かぶってる世界で帽子つくるしごとするのもいいけど、他に楽しい生きかたとかあったらおもしろいよね。
 映画としてちょっとヘンな感じする理由はこの作品がそもそも一貫性にさほどの重きを置いてはいないコラージュだから。しかもふつうのコラージュではなくて、じぶん自身が造ってきた今までの作品の中から切り取ってきてる。どんどん出てくる。あきらかに意識的にやってる。動く城だって見てのとおりツギハギだ。
 今までの彼の作品にはありえないリアリティの無さは、世界そのものを不真面目にしておかないと手法とのバランスが取れんということじゃなかろうか。あえてゆるゆるにした世界の上でテーマパーク・ハヤオランドを建設してみせたのがこの作品だと俺は思う。そして作品内の各キャラクターには少しづつ分散する形で監督自身のキャラクターが混入されている。つまり舞台もキャラクターも、この作品の中にあるものはほとんどすべて宮崎駿そのもの。あの紅の豚でさえもここまで個人的な作品ではなかっただけに好き嫌い分かれるんだろな。
 以前、漫画家の井上雄彦がNHKのトップランナーって番組のなかで「あなたにとって漫画とは何ですか」って問われたときに「魂の娯楽煮」って答えてた。じぶんそのものを煮たり焼いたり調理して作品として見せる。よくできてるエンタテインメントなんてだいたいそんなもんじゃん。俺、焼き加減レアめが好きだからハウルの動く城はお口に合ったよ。
 ほろっときたのはハウルが草原の中の隠れ家にソフィーを案内するシーン。このシーンでのソフィーは何かと言うとたぶん色彩設計担当の保田道世だよね。さすがに最晩年と言ってもいいだろう劇場作品の中できっちりあらわされた感謝が俺はステキだと思った。ふつうこっぱずかしいだろ。それとも歳とるとそうでもなくなるのかな。(評価:80点


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