2001年5月1日(火)
 先日から通勤時にちまちま読んでいたドナルド・E・ウェストレイク『斧』をやっと読了した。つまんなかったっす。この程度で「『シンプル・プラン』『ポップ1280』に比すべき戦慄のノワール」なんてオビで煽るのは、ちょっとどうかなあ。宣伝戦略上、そりゃどれだけ煽ろうと売るがわの勝手だけれど、そうすると学習しちゃうよ、こっちも。
 ――そういうわけで、文春文庫のオビはマユツバ、と、とりあえず学習してしまいました。当分忘れません。

【今日買った本】
 伊藤理佐『おるちゅばんエビちゅ』9巻(双葉社)←惰性買い。
 新井英樹『ザ・ワールド・イズ・マイン』14巻(小学館)←完結。傑作でした。
 卯月妙子『新家族計画』1巻(太田出版)


2001年5月2日(水)
 ザッピングの途中でニュースステーションをうっかり目にしてしまったとき、どうしてもメディアリテラシーというものについてしみじみと暫し黙考してしまう今日このごろ。わたくしと同じくワールドビジネスサテライト派のみなさまはどうお過ごしでしょうか。やっぱりイイよね、テレビ東京。

 1日+3日の計4日間の休みのおかげで積んであった漫画がほとんど消化できた。
 かわぐちかいじ『ジパング』1〜3巻は、出色。分類するならば、近代兵器(イージス艦)過去タイムスリップ物。ディテールがいい感じなのと骨太なところが他の同ジャンル作を寄せつけず。超一流。
 あと、新井英樹『ザ・ワールド・イズ・マイン』14巻(完結)。連載時も最初から最終回までずっと追っていました。単行本で改めて読むとまた違う感じに。もうムチャクチャ。先が読めないのが楽しくてしょうがない。世の中がそういう漫画ばかりになっても困るが。堪能しました。

 かなり酔っぱらっているので本日は脈絡もなくこんな感じで。


2001年5月3日(木)
 朝4時頃目が覚めてしまったのでなんとなくディアブロ2で遊んでみた。気がついたら朝7時になっていて、とりあえずメシ食って飲酒してもういちど寝る。昼2時に起きてまたなんとなくディアブロ2。いつのまにか夜7時に。少しだめな感じ。(←自覚有り。)

 遅ればせながら先日侍魂を覗いてみた。侍魂は、立ち上げからまださほど時間が経っていないのにもかかわらず現状で破壊的なアクセス数を得ている日記サイト。確かに読んで面白い。特にストーカー編の面白さはハンパじゃない。面白いかどうかという点においては、他の凡百を圧していると思う。
 それでもこの凄まじいアクセス数はいったいどういうことなのだろうと思い、その点について少しだけ考えてみる。
 重要なのは、昔からある大メディアと比較すればインターネットは所詮ハナクソみたいなものだ、ということ。侍魂の場合、ラジオ番組で言及されたことが爆発のきっかけのひとつとなったように見える部分もある。いわばウェブ外の巨大メディアからのリンクと言えるだろう。
 1日のアクセス数が数千あれば、通常の認識ではそのサイトは大サイトだが、影響力という点について考えれば、例えそのような大サイトであってもテレビやラジオとは比較にもならない。深夜のテレビ番組で視聴率せいぜい数%程度のものでさえ、その力はウェブとは比べ物にならないほど大きい。また、雑誌などの紙媒体も、テレビやラジオほどではなくともそれでも相当な力があると思われる。
 そうすると、そういう強力な外部メディアからのさまざまなリンクをうまく取り込んだ侍魂のアクセス数は、べつに異常でもなんでもない、という結論が出る。

 小さい世界で小さく遊ぼう。個人サイトは、最初からそういう認識で運営していたほうがよかろうと思います。

 小さい世界と大きい世界との接点で何が起きるのか。そのあたりに着目しながら、今後も侍魂は読みつづけます。いろいろ言われている部分もあるようですが、わたしはこのサイト、面白いと思うし。


2001年5月4日(金)
 北朝鮮の金正日総書記の長男と思われる男、偽造パスポートで日本に不法入国を試み、一時拘束。すぐさま国外退去。
 なんかもうそこらへんの漫画よりもムチャクチャな話。何かの冗談かと思った。
「ディズニーランドに行きたかった」
 とのコメントには脱力。もしそれが本当だったにしても、せめてもう少し気のきいたことを言うか黙秘するかだろう、普通。こんなわけのわからないことに付き合うより、すぐさま国外退去を選択したのは正解だったのでは。この短い時間でよく決断できたもんだ。

 あまりにも杜撰な話なのでにわかには信じがたし。裏に各国の情報機関の精緻な駆け引きがあって、結果こういう形になった、っていうのなら少しは面白い話になるかも。何を目的にどこが仕掛けてどこが得したのか。事情は何通りか考えられるが「ディズニーランドに行きたかった」の持つインパクトにはかなうまい。フィクションより現実のほうがよっぽどムチャクチャだ。


2001年5月5日(土)
 当サイトが利用している無料アクセス解析サービスが新規登録を再開した。(本日現在の話。)2か月ほどの新規登録中断にはやや心配なものも感じたが、これで少し安心した。
 このサイトを立ち上げたとき、相当吟味して選択したのがこのサービスだ。まず、無料であるという点と、うさんくさい匂いがしない、という点が決め手になった。当時、このサービスは新型の広告バナーをテスト中で、モニターを300人募集します、というタイミングとこちらがサイトを立ち上げたタイミングとが、不思議と噛み合い、エンのようなものも感じた。カタチだけは無料版サービスもありますよ、ということにして集客し、結局いつまでたっても肝心の無料版は空きが出ないようなサービスより、よっぽど真っ直ぐだと思うし。
 応援しています。


2001年5月6日(日)
 4日+4日の連休中、家から外に何回出たかをふと考えてみる。
 歯医者に行ったのが1回と、家出したねこを家の中に入れようと庭に出たのが1回。あとはずーっと家の中に籠もりっぱなし。外に出たと言っても、どちらもやむをえずの話だから、外で遊ぼうという自主性、ナシ。こりゃイカン。
 連休だからってムリヤリ遊ぶのもいかがなものかとは思うが。

 NHKの『おかあさんといっしょ』にたまが出ていた。柳原陽一郎(当時は幼一郎)が抜けて3人になったあたりでアルバムを買うのをやめてしまったが、まだ続けてたのだなあ、と懐かしくなった。

 大型連休最終日ということで、各テレビ局がUターンラッシュのニュース映像を流している。これを目にすると、毎度毎度なんだか悲しくなるのがなんか嫌。小さい頃、笑点やサザエさんを観ながら憂鬱になったのと同じ感じになる。学校は嫌いだったし、仕事も嫌いだ。


2001年5月7日(月)
 今日、会社に新人さんがふたり入った。ひとりはわたしの後任で、もうひとりは来月やめる事務のおねえさんの後任だ。
 わたしの後任は、いちおうアルバイトということで募集して、もしいい感じなら正社員、というカタチになっているらしい。採用されたのはもうすぐ34歳になるおにいさん。募集時には、嘱託狙いの層を視野に入れ、30〜60歳ぐらい、という思い切った広告を打ったようだ。結果、おじいさんたちからバンバン電話がかかってきたが、結局採用されたのはその中でも若い部類に入るおにいさんだった。やっぱり年齢っていうのは採用時に武器になるものらしい。50〜60代のひとのなかに30代がひとりいたら、そりゃ有利なんだろう。
 あとだいたい正味15日ぐらいで基本的な作業を確実に教えなければならず。年商数億になるブツをたった独りでサバくのはけっこうたいへんだぞ。

 大学では心理学(実験心理学)を専攻していた。いや、ハッタリかまさないといけないときに便利な気がしたので(他の理由もあるが)。
「で、大学では何を専攻していたのですか?」
「心理学です」
 ほら、なんかもうこれだけで思いっきりブラフかますことができたような感じになる。
 レクター博士が言う通り、心理学は科学とは言えない。ただ、心理学の中でも実験用ラットを用いて得られた明確な数値のみを対象とするある種の実験心理学だけは科学の類に入れてもいいんじゃなかろうか、と思っている。そう、ティプトリー(ティプトリーを知らないひとはSF好きのひとに「ティプトリーって、ナニ?」って聞こう。ついでに彼女が最後どうやって死んだかも聞いておこう)が学んだ、アレだ。厳密に実験環境を整えれば、真実が見えてくる。動物としての根本となるところはラットも人間もあまり変わらない。
 当時はいろいろ便利なことを実地で学ばせていただいたが、せいぜいその手法を活用して、あと15日で後任のおにいさんを仕上げられるところまで仕上げてみようと思っている。

 なんてね。ある意味、今日の日記もハッタリだったりして。

【今日買った本】
 雑誌「ぴあ」5月21日号(ぴあ株式会社)


2001年5月8日(火)
 予定通り会社休んで歯医者。

 昼、1か月ぶりぐらいにモスバーガーに行ってみた。チリドッグのチリソースが豆入りになってピリマメドッグ(だったか?)とやらいう商品に変わった。ネーミングはともかく、けっこう美味しい。
 昔のモスバーガーをもういちど食べてみたい。無農薬野菜はともかくとして、合い挽きを牛肉100%に変えるのはいががなものか、と当時思った。昔のほうが美味しかったような気がするのだが、どうなんだろう。並べて食べ比べてみたい。

 昨日遭遇した面白いサイト。刃牙でヌく。グラップラー刃牙を読んだことがあるひとならば、相当笑えると思います。「バキ回転史」は、見てしばらく笑いが止まらず。板垣作品はいつも勢いがいいので普通に抵抗なく読まされてしまうけど、一部分だけ冷静に切り取ってみると、お笑いになってしまうということがよく分かりました。


2001年5月9日(水)
 鬱はだいたい治ったようだがどうにも気力が減退気味。
 3年か4年ぐらい前からだろうか。面白い漫画や小説を読んでも、以前ほど感動しなくなった。何かの作品に触れたとき、これハタチぐらいより前に読んでたらたぶんものすごく感動したのだろうなあ、ということだけはなんとなく分かっても、今読んだところで特に心動かされることもなく。もったいない話。涙腺だけは何故かゆるくなったような気もするが。
 ひょっとして、歳をとるとはこういうことを言うのか。若かりしころ、わたしの周りの大人で「30過ぎるぐらいからなんだかモノゴトが以前ほど面白くなくなるよ」なんてハッキリ教えてくれたひとはひとりもいなかったので、ここはひとつわたくしがこれを読んでいる若いひと(がもしいるとすれば)にハッキリそのことを教えておきます。
 若者よ!
 今できることを明日にまわすな!
 今できることは、
 今すぐにやれ!!
 フジテレビ『笑う犬の冒険』のコントからの引用。どんなコントか知らないひとは番組のファンのひとに聞いてください(あるいはそのもうひとつ前の元ネタが存在するのかもしれないが)。――なんて書くと拡大ゴシックの4行は冗談だと思われるかもしれませんが、そうじゃなく、本気でそう思っていますので念のため。
 
今読める本は今すぐに読め! 今観ることができる映画は今すぐに観ろ! 今すぐにやれ!

 あれ? もしかして、俺、じぶん自身に向けてこの文書書いてる?

【今日買った本】
 雑誌「テレパル」5月12日号(小学館)


2001年5月10日(木)
 お昼休み、今日も会社の御近所にある行きつけのイカス小さな漫画専門店、二昌堂に行った。
 さすがに3年間もほぼ同じ時間帯に頻繁に訪れれば顔も憶えてもらえるらしく、販促の景品をオマケでもらえることが多々ある。なんかうれしい話。
「会社の上司のかたの子どもって、男の子です?」
「??? ……ああ、ええ、そうです」
「では、これ、どうぞ」
 ということで、今日は、二昌堂の紙袋に丁寧に包まれた、講談社のはじめの一歩置き時計をもらった。
 前の小学館漫画フェアが始まる頃、昨年末ぐらいだったか。くじをひかないで好きな景品を選んでください、と言われたとき、そりゃマズイだろう(こういう販促の景品は子どもの手に渡ってこそ価値があるとわたしは考えている。大人の手に渡ったところで、価値は半減、いや、千分の壱以下になるだろう。じぶんが子どもだったころのことを想像してみれば容易に想像できて然るべき話だ)ということでピカチュウの下敷きを選択したことがあった。藤子・F・不二雄信者としては、ほんとはドラえもんブランケットが魅力的だったのだが。それは目玉だと思ったので、物欲を制した。「常連だからアレちょーだい」って言うのも、むちゃくちゃカッコワルイと思ったし。それに、あれはこんな男の手に無手順であっさり渡っていいものではない。くじを引いて(「籤は絶対です」(藤子・F・不二雄「カンビュセスの籤」より))きっちり偶然を制した子どもの手に渡るべき品物だ。カミサマの御心のままに。
 お店のおねえさんは、そのときわたしが「いや、会社の上司の子どもがポケモン好きなので」という言葉を発したことを憶えていてくれたらしい。(上司というより先輩なのだが、上司と言ったほうがストーリーとして分かりやすいような気がしたのでそう言った。)ありがとう、おねえさん。ちなみにそのときはそれでは申し訳ないので、と、ハム太郎の携帯ストラップもくれた。もちろん、下敷きもストラップも、それを欲している子どもの手にちゃんと渡ったヨ。
 名探偵コナンの小物入れも、トランプも、わたしの手を経て子どもの元に行ってるヨ。お返しに先輩から日本酒と紀州の梅干し(両方とも先輩がお盆休みに実家で買ってきてくれたやつだ)をいただいたのはかえって申し訳なかったけど。

 会社やめたらこのお店にも通えなくなるのだろうなあ、と思ったら、少し寂しくなった。

【今日買った本】
 板垣恵介『バキ』8巻(講談社)


2001年5月11日(金)
 新しく会社に入ってきたおにいさん(と言ってももうすぐ34歳だが)と仕事中にぼちぼち会話してみる。
 約1年前、相方がリストラされてから今まで、ずーっと独りで倉庫に籠もってブツをさばき続けてきた。しょうもない話ができる相手がひさしぶりにできたので、ほんのりうれしい気分。なんだか知らないけど気が合うし。
 今回入ってきた彼は趣味で漫画を描いているそうで、
「どのような漫画を描いておられるのでありますか」
「ギャグ漫画であります」
 とのような会話を交わしつつ。少し不安がよぎったので、
「では同人誌即売会などは参加されるわけでございますか」
 と聞いてみたところ、
「いいえ、それは一切ございません」
 とのこと。安心した。
 同人誌即売会にはいちどだけ行ったことがある。ちょうど10年ぐらい前だったか。地元のパソコン通信で知り合ったひとに、かなり大きい催しに連れていってもらった。ひとことで言えば、困惑した。どうもあの感じには馴染めない。

 このひとはたぶんわたくしに似たところがあると思ったのでさらに質問する。
「映画などはご覧になるほうでありますか」
「最近はあまり劇場に通うこともありませんが、映画というものは好きであります」
「お好みの作品をよろしければひとつ」
『シザーハンズ』であります」
 これには少し驚いた。現在のところ、わたくしのお気に入り映画ベスト3は、公式には(つまりほとんど初対面のひとと映画の話をするときには。特にキャバクラなんかで)以下のようになっている。
1)『シザーハンズ』
2)『スティング』
3)『2001年宇宙の旅』
 1位に何故かずっぽしはまったので、仰天した。世に映画は星の数ほどあるわけだから、1位にずっぽり、っていうのはやはり驚くでしょう。

 古いゲームとか古い漫画とかの話ができるのが楽しくて楽しくて。やめるまでしばらく退屈せずにすみそうです。


2001年5月12日(土)
 最後の土曜出勤。帰宅して食事後、デジカメのネタを整理していると、闘うサラリーマンから電話。
「1パイやりにゆくのである」
「よかろう」
 そういうわけでキャバクラに連行されて記憶ケツラク。気がついたら、三十路のおっさん2名、デニーズで昏倒
 現在(日曜の朝)、二日酔いで猛烈な頭痛。とりあえず日記だけは根性で更新。


2001年5月13日(日)
 朝、昨日の日記を書いてから黒丸(二日酔いのクスリ)を飲んでふとんに倒れこむ。そのまま夜までとても起き上がれず。身体が動かない。お医者さんならじぶんで点滴して治すところだろうが、フツーのひとは寝て治すより他なし。
 酒で記憶ケツラクした翌日は、ほんとになんにもできないので困る。


2001年5月14日(月)
『銀河ヒッチハイクガイド』の作者ダグラス・アダムスが「AP通信などによると、11日、米カリフォルニア州サンタバーバラで心臓発作のため死去、49歳。」(2001年5月14日付中日新聞訃報欄より)、とのこと。朝日の朝刊には載っていなかったから(見落としていた、あるいは本日より前の日付で載せていたらすまん)、中日新聞、けっこうマニアック。その姿勢で行こう。
「Don’t panic」(「あわてるな」。名訳)って言葉、確かドリームキャストの『シーマン』のパッケージでパクられて(というより敬意を表してるのか?)たよね。

 明日、会社の後任のおにいさんが自作の漫画をちょいと持ってきて見せてくれるらしい。
 先日、
「描いた作品、もしよろしければ今度見せてくださいませぬか」
 との問いに、
「いいっすよ」
 という答えがあっさり返ってきたので少し驚いた(いや、ほとんど面識ナイ時点でそういうコアな部分ってあんまり見せたくないでしょう、普通)のだが、どうやらほんとうに見せてくれるらしい。
「少し前に描いたやつでありますが、それでもよろしゅうございますか」
「もちろん。いちばん自信のあるものをどうぞひとつ」
 ということになった。
 少し楽しみ。


2001年5月15日(火)
 昨日の日記中の『銀河ヒッチハイクガイド』は正しくは『銀河ヒッチハイク・ガイド』でした。中黒(「・」)が抜けていました。ごめんなさい。

 明日は会社休んで歯医者。(カイシャとハイシャで語呂も良し。)
 あと、会社の後任のおにいさんに今日貸してもらった彼自作の漫画(コピー)をゆっくり読んでみる予定。
 予定があるって、イイね。


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